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 基本的に特撮・ゲーム・自作小説が中心のブログです。  小説に関しては常識ですが無断転載は禁止です。

『6th BREAK 『大 敵−アーク・エネミー−』 第11章』

お待たせしました。
アウトブレイブの続編です。

 色々と駄目な部分もありますが、よろしくお願いします。
11

 ヴァルゼリオンが収納されている格納庫へ向かう廊下は思ったよりも長いものだった。自分達がいた棟とは別の建物にあるのだから当然なのだろうし、そこへ向かって行く事支自体は問題ではない。問題は今のジン達の状態なのだ。

 本当にこの状態は、いったい何の冗談なのだろうか? ジンは未だに納得する事ができずにいた。
 自分にとって最も憎悪すべき男・キョウシロウが何の因果か自分の命を助けようとしている。キョウシロウにとって、何のメリットも無いこの行為に一体何の意味があるのか?

 しかし、ジンの警戒などキョウシロウは気にも留めていないようだ。この得体の知れない男は顔に笑みを浮かべたまま治療用ナノマシンの副作用で動けなくなっているジンに肩を貸しているのだから。

「どうした? 俺の顔がそんなに気になるか? 悪いが俺にはその気は無いぞ」
「くだらない事を言うな」
「ほんのジョークだよ。それにお前が気になっているのは女の事だろう?」

 そう言って、ますます笑みを浮かべるキョウシロウに対し、ジンは歯軋りをする事しかできなかった。キョウシロウの言う事は図星だ。アヤネは意識を失っており、車椅子に乗せられている。今の状態ではアヤネも赤子の手を捻るが如く簡単に殺せてしまう。ましてや、そばにいるのはキョウシロウの部下の二人の女だ。一人はアヤネの車椅子を、もう一人はジョウスケたちの後ろに立ち、銃を突きつけて牽制してきている。
 いつこの3人が自分達に、とりわけアヤネに対して襲いかかるかジンには気が気ではなかった。

「どうやら、よっぽどあの女が心配みたいだな」

 またも、キョウシロウの嘲笑を含んだ言葉が耳に入る。ジンは反射的にキョウシロウを睨みつけるが、キョウシロウはその睨みすらも嘲笑しているように笑みを絶やさない。

「そう睨むな。大体、自分が何度もあの女を見ていたのをわかっていないのか? あれだけチラチラと見ていたら、どんな馬鹿でも気づく」
「・・・・・・」
「それに安心しろ。あの二人はしっかりと躾けてある。俺の命令抜きで殺すような真似はしないし、俺も今殺すほど馬鹿じゃない。今はしっかりお前達を守ってやるさ。今だけはな」

 ジンは微笑むキョウシロウを見返さず、後ろにいるアヤネとそれを守っている二人の女へ視線を送る。確か劉 蘭華(ラウ ランファ)と劉 麗華(ラウ レイファ)と言う名前で双子の姉妹だとキョウシロウが言っていた。

 その双子の片割れとジンの視線が合い、彼女が軽く微笑んでくる。妖艶さを含んだ女の笑みは確かに美しかった。だが、それ以上に女から薄ら寒いものが伝わってくる。やはり、こいつもキョウシロウと同じようなものと言う事なのだろうか・・・・・。

「なあ、キョウシロウ。どうしても気になるんだけどさ・・・・・・」

 不意にアヤネ達の後ろで今まで黙っていたジョウスケが声を出す。

「どう考えてもわからないんだけど、お前が俺達を助けるメリットってなんだよ? 今ここで逃がしてから後で・・・・・・なんて無茶苦茶面倒な事する必要がどこにあるんだ?」

 ジョウスケの空気を読まない言葉に苛立ちと同意が同時に沸きあがる。現状でベストの選択肢はこのまま無事に脱出する事なのだが、何故キョウシロウが自分たちを助けるような真似をしているのかを知らずにいるのはあまりにも不安なのだ。もっとも、キョウシロウが本当に助ける気があればの話だが・・・・・・。

「こっちの都合だ。気にするな・・・・・・と言っても、納得はしないだろうな」

「当たり前だ。お前はいきなりマユに襲いかかって来たって前例があるからな」

「ああ、あの時か。あれはそいつの言動と態度が気に入らなかったからな。今はもう気にしてはいない。許してくれ」

 悪びれず、笑みを浮かべたまま言葉のみの謝罪をするキョウシロウを見て、ジョウスケは珍しくその表情に怒りを浮かべた。ジン自身も怒りを感じたが、ジョウスケのそれはジンよりも激しい。

「そうだな、あの時の侘び代わりに理由を説明してやろうか。理由は二つある。俺はクロウド博士に博士に頼まれてお前達を殺すなと言われた」

「博士が・・・・・・じゃあ、アレは本気だったのかよ」

 ジョウスケは奥歯に物が詰まったようななんとも言えない表情を浮かべている。その言動から察するに、あのデータをくれた協力者に違いないのだが。

 それも気になるが、ジンが気になっているのはキョウシロウの言うもうひとつの理由だ。『殺すな』だけではこいつが自分達を助ける理由にはなっていないのだから。

「もう一つ・・・・・俺としてはこっちの方が重要だ。今、イスルギ重工の敷地内には俺にとって大事なモノがある。もし、今お前達を放って置いたら間違いなく厳戒態勢が取られ、敷地内は半ばパニックになるだろう。それは困るんだ。あいつらを脅えさせる訳にはいかないからな」

「あいつら? あいつらって―――」

 ジョウスケが話している途中、突然キョウシロウの動きが止まる。その不自然な行動に何があったのかと思いキョウシロウの顔を見ると、今まで顔に張り付いていた嘲笑が消えていた。キョウシロウの視線は真正面に固定され、それまで見た事の無かった驚愕の表情が浮かんでいる。

 ジンはそのキョウシロウの表情を見て、反射的に視線を前に戻す。だが、そこにいた物を見て、ジンは目を疑った。

「子供・・・・・?」

 ありえないことだ。イスルギ重工に子供が迷い込んでいるなどありえるはずが無い。だが、視線の先にあるのはどう見ても白人の少女とアジア系の幼い少年だった。距離が離れているから細かい事はわからないが、どうやら泣いているようなのだが・・・・・・。

 そんなジンの疑問をよそに少女がこちらに視線を向け少年の手を引いて近づいてきた。それを見てジンは血の気が引いた。もし、キョウシロウがこの子供達を不快に思ってしまえば・・・・・・ジンは子供達を逃がそうと叫ぶ。

「おい! こっちに―――」
「パパぁ!!」

 子供達はジンの声など全く聞こえなかったかのようにキョウシロウに抱きつき、泣き出していた。そして、キョウシロウもそれまでの嘲笑と狂気だけで作られていた表情と態度からは想像すらできなかったやさしげな表情を浮かべてる。

 なぜだ? なぜこの少女と少年は人種も違う、まだ若いキョウシロウを父親と呼んでいるのだろうか?

「ミラにクァンか。一体どうした? 何でみんなと一緒にいないんだ?」
「・・・・・・パパが・・・・・・いなかったから」
「探しにきて・・・・・・迷子になった。 そうだろう?」

 ミラと呼ばれた少女は涙を流して嗚咽しながら頷くと、キョウシロウは微笑を浮かべ優しく二人を抱きとめる。それは愛にあふれた美しい光景だった。キョウシロウがしていると言う点を除けばだが。

「前から言っていただろ? パパはお仕事があるから一緒にいられないって。そして、みんなでパパがいなくても大丈夫だって約束したよね?」
「うん」
「それじゃあ、しっかりと約束を守らないとな。それにいい子でいたら後でちゃんと遊んでやるから」
「やったぁ!!」

 二人の子の泣き顔が笑顔になり、キョウシロウは二人を慈しむように優しげに頭をなでていた。

「レイファは二人をこの棟の正面玄関にまで連れて行って、ランファは引率者に連絡を取って迎えに来てもらってくれ」
「わかりました」

 二人が声を揃えて返事をする。そして、レイファは二人の子の手を取り今来た道を引き返し、ランファは携帯で連絡を取っている。

 ミラとクァンはこちらが見えなくなるまで、キョウシロウに手を振り続けキョウシロウもそれに答えるように笑顔で手を振っていた。

 この突発的な出来事にジョウスケ達はただ唖然としていた。確かに今の光景は直接目で見ていたのに信じる事ができない。あまりにもそれまでのキョウシロウとは違和感がありすぎるのだ。

「薄気味悪い・・・・・・そんな顔しているぞ。失礼な奴らだ」

 キョウシロウは既に子供と会う前のキョウシロウに戻っていた。

「当然だ。お前が子供に対して優しいなんて、冗談がきついにもほどがある。大方、そのうちあの子達を喰って――――」

 それ以上の言葉をジンは紡げなかった。瞬時に喉元に突きつけられたナイフに思わず言葉が止まってしまったのだ。

「やめておけ会長の息子、それ以上はあいつらに対する侮辱にもなる」

 針を刺したかのような微かな痛みが喉元から伝わってくる。その目は笑っていない。

「・・・・・・だが、ここでお前を殺したら意味は無い。だから気をつけろ俺は子供達の事になると少々冷静でいられなくなるからな」 

 ご丁寧に皮膚表面を切り裂きながらキョウシロウはナイフを懐にしまう。だが、ジンは助かったと安堵よりも、子供の事でそこまで感情をむき出しにするキョウシロウに対する違和感の方が大きかった。

「どうやら、あの子達が貴方の言っていた『大切なモノ』ってやつね」

 その言葉にキョウシロウの視線がカズエに向けられる。

「さすが・・・・・・と言ったらこの場合嫌味になるかな? そう、あんたの言うとおり、あの子達がいるから俺はお前達を殺せない。せっかく、父親の職場を見に来たのを台無しにしちゃあ、あの子達が可愛そうだ。だから、俺はお前達を今この場で全員ぶっ殺したいのを抑えて助けてやろうとしているんだよ」

 キョウシロウの口から語られた言葉に、マユの顔色が明らかに悪くなった。無理も無い、今のキョウシロウの言葉に込められた殺意は本物であり、強烈な物だった。殺し合いに慣れていないマユにすら感じられるほどに。

 それがジンには気に喰わなかった。キョウシロウの行動の根本には、いつでも自分たちを殺せると言う自信があるからこそ、このような行動に出られるのだから。

 それを理解していても、今の自分にはどうしようも無い。その空しさと苛立ちが再びジンの口から悪態を紡ぐ。

「ずいぶんとあの子達が大切なようだな。将来の事を考えたら過保護はよくないんじゃないか?」
 またナイフで切られるか、それとも銃でどこかを撃たれるか・・・・・・それを覚悟で言った悪態だったが、ジンの覚悟は簡単に無意味になった。キョウシロウは武器を握ってジンを傷つけるどころか、さっき子供に見せた笑みをその顔に浮かべていた。

「過保護なくらいでちょうどいい。あの子達はこの『地球の希望』だからな」

「え?」

 ジンの口から間抜けな声が漏れたが、それを気にする余裕は無かった。キョウシロウの口から出てきた創造もせぬ言葉にジンの背中に悪寒が走る

 それを知ってか知らずか、キョウシロウは恍惚の笑みを浮かべて言い放った。

「あの子達こそが俺の夢をかなえられる。『地球圏の永久の平和』と言う夢をな」
 

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蘇芳

Author:蘇芳
特撮とケームとマンガをこよなく愛するオタクです。

 最近の流行についていけないながらも、色々と頑張って生きてます。

 どうやら小説などのようにある程度の長文を開いた時に表示が完全にされないバグのようなものがあるらしいです。


 原因はわかりませんが、対処法としてはツールバーの履歴アイコンを2回ほど押せば直るようです。

 ただ、これはIEでの対処の仕方です。他のソフトを使っている場合は申し訳ありませんがどう対処すればいいかわかりません。

 少々不便でしょうがよろしくお願いします。

メアドです
suou00●hotmail.co.jp
●を@にしてください。

 ミクシィにもいますので、入れる人はよかったら見てください。

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