BASARA更新しました。
2008-01-20
今年初の小説更新です。
今年は去年以上のペースで執筆して行けるよう努力して行きます。
ちなみに小説が途中で切れていたりする場合があるらしいのですが、そういう場合はツールバーの「履歴」アイコンを2回ほど押せば直るようです。
二
操縦席のレバーを握る手の汗が止まらない。既にタカヤの掌の湿り気の不快さは我慢しきれないレベルになっているが、ノーマルスーツを着込んだ今はそれを拭う事すらできなかった。
タカヤとレナは既に戦場である天安門広場にいた。目視できる距離にはジュネーヴでタカヤが撃退した機体『スリムスケアクロー』がいくつも待機をしている。
後から知った事だが、あの機体は鉄神党に盗まれた機体でと呼ばれる物らしい。能力よりもコストを優先させている為、簡単に量産できるという。実際戦ってみた手ごたえから言っても、あれは大した事は無い。それより問題なのは未だ見えぬ『ボス』と呼ばれている敵なのだ。
張り詰めた緊張の糸を感じながらタカヤは何度も時計に目を移した。今の時刻は16:42、鉄神党が指定してきた開戦の時間まで20分を切っている。タカヤは目をつぶって、昨晩ブリット少尉とのシミュレーションで教わった事を思い出す。シミュレーションでは一度も勝つ事はできなかったがブリット少尉の指導のおかげで基礎の技術も知識も出来うる限り詰め込めたと思う。
ここまで来たら開き直った方がいい。無理にでもそう思い込もうとするが、タカヤの体は思ったよりも正直で、緊張の為に汗も震えも止められなかった。ここへ来て自分の臆病さを再確認しているとプライベート通信が入ってくる。レナからだ。
「タカヤ君、大丈夫?」
レナは自分を案じて通信してきたようだが、むしろ声の張りから極度の緊張が見え、彼女の方が心配になってくる。だが、それを言った所でレナが虚勢を張るのは目に見えている。
「ああ、大丈夫だ。あとは勝って終らせて、ゆっくりと本場の中華料理でも食いに行こうぜ。昨日の食事は日本と代わり映えしなくてがっかりしたからな。魚のフライとか衣がベチャっとしてたし、スープも具が少なくて味気なかったし。いくら軍の食堂とはいえ、あんな物出しちゃ中華料理作っている国の名折れだな」
タカヤは思いつく限り、軽口を並べ立てる。例え自分がどれほど精神的に疲弊していようがレナほどではないはずだと思い、懸命にレナの緊張を解こうとする。
「・・・・・・そうだね、せっかく中国まで来たんだから美味しい物くらい食べたいよ」
レナの声がほんの少し明るさを増した。それを聞いて、タカヤ自身もほんの少し緊張が解ける。
「ああ。だから勝つぜ、俺達」
「うん。じゃあ、また後でね」
レナが通信を切った後、タカヤは再び時計に眼を落とす。既に戦闘開始までの時間は5分を切ろうとしている。
その時、オープンチャンネルに通信が入る。このチャンネルで通信してくると言う事は・・・・・・
「さて!! お集まりいただいた皆さん!! 心の準備はOKですか〜!?」
予想通り、耳障りな道化師の声がスピーカーから響いてきた。やはり開戦の合図もこいつの声になるのだろうか・・・・・・。
「両軍共に準備はよろしいようですね♪ 結構な事です。なお、この戦いは我等、鉄神党によって全世界の通信機器に中継されていますので、互いに妙な事はせず正々堂々スポーツマンシップに乗っ取って戦ってくださいね♪」
道化師の言葉は彼らが本当にゲーム感覚でやっているのではないかとすら思わせる。タカヤは波立つ自分の心を抑え、道化師の声を聞き流して平静を装う。
視線の先にある時計は少しずつ進んでいく。3分・・・2分・・・1分・・・30秒・・・10秒・・・5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・
「0!!」
タカヤは叫び、緋炎皇を敵軍へ向け加速させる。17:00、ついに連邦と鉄神党のゲームが開始されたのだ。
「タカヤ君!!」
「タカヤ、突っ込みすぎだ!!」
クスハとブリットの声が聞こえるが、タカヤは耳を傾けず一心不乱に間近の敵に向かっていく。出る杭は打たれると言う故事そのままに突出したタカヤに対して3機のスリムスケアクローが正面から同時に襲いかかる。
だが・・・・・・
「邪魔だぁ!!」
タカヤは一喝と共に暴魂を一文字に薙ぎ払った。暴魂の一撃はグルンガスト参式の装甲すらもほぼ無効化するほどの重いものである。その一撃にスリムスケアクローの装甲は意味をなさずに瞬時に物言わぬ鉄屑になった。
地面に散乱するスリムスケアクローの破片とレバー越しに伝わってくる暴魂の感触にタカヤは身震いする。その震えは恐怖からではない。自分の力と緋炎皇の力を確信できた事による武者震いである。
「いける・・・・いけるぞ!!」
自分も戦力になる事を認識したタカヤは、自軍との合流を待たず敵の大群へと向かって行く。すぐに緋炎皇は取り囲まれ乱戦状態になるものの、暴魂を振るうたびに取り囲んでいるスリムスケアクローは残骸へと変わっていく。
その光景にタカヤは高揚感を感じていた。さっきまでの緊張も恐怖もただの杞憂でしかなかったと理解し、今はただ感情の赴くままに残骸を作り続ける。
「どうした鉄神党!! もっと歯ごたえのある奴はいねえのか!?」
感情が猛るまま、オープンチャンネルで啖呵を切るタカヤ。そこへ、ブリットが語気を荒げて通信してくる。
「やめろタカヤ、油断は禁物だ!!」
「大丈夫だよブリット少尉! このレベルなら眼を瞑ったって負けはしねえよ」
「雑魚を相手にしただけで相手の戦力を測るんじゃ無い!! お前は―――」
突如鳴り響くアラームにタカヤもブリットも反応する。レーダーにはスリムスケアクローとは比べ物になら無い早さで近づいてくる2つの光点があった。
「これがボスか?! こんな早いタイミングで来るなんて!!」
予想していた展開との違いに狼狽するブリットのをよそにタカヤは笑みを浮かべる。
「大丈夫だよ。どうせ遅かれ早かれ相手する必要があったんだ。さっさと倒し―――」
タカヤの言葉はそこで途絶えた。一際アラームが大きくなったと思った瞬間、大きな衝撃が襲いかかり、緋炎皇が地面に転がった。
タカヤは体勢を慌てて体勢を取り、レーダーとメインモニターへ何度も眼を泳がせる。
そこにあるのは全く同じフォルムをした軽量級PTほどの大きさの2つの機体だった。タカヤはその2機がボスだと反射的に理解した。
だが、今のは一体なんだったのか? 緋炎皇との距離は100メートル程離れていて、とても格闘を仕掛けられる間合いでは無いのだが、その2機は大型の飛び道具を持ってはいない。細身の機体が離れた距離からどうやって緋炎皇を転倒させるほどの一撃を放ったのかタカヤは理解できなかった。
「無様だな、日本人(リーベンレン)」
通信機から声が聞こえてくる。どうやら、これがボス機体のパイロットの声なのか?
「今のも防げないようなド素人を相手にするなんて俺のプライドが許さないが・・・・・・任務は任務だ。この『鉄鋼牙』・剣虎(チェンフー)と刀狼(タオラン)が、お前らを冥府へと送り届けてやる!!」
今年は去年以上のペースで執筆して行けるよう努力して行きます。
ちなみに小説が途中で切れていたりする場合があるらしいのですが、そういう場合はツールバーの「履歴」アイコンを2回ほど押せば直るようです。
二
操縦席のレバーを握る手の汗が止まらない。既にタカヤの掌の湿り気の不快さは我慢しきれないレベルになっているが、ノーマルスーツを着込んだ今はそれを拭う事すらできなかった。
タカヤとレナは既に戦場である天安門広場にいた。目視できる距離にはジュネーヴでタカヤが撃退した機体『スリムスケアクロー』がいくつも待機をしている。
後から知った事だが、あの機体は鉄神党に盗まれた機体でと呼ばれる物らしい。能力よりもコストを優先させている為、簡単に量産できるという。実際戦ってみた手ごたえから言っても、あれは大した事は無い。それより問題なのは未だ見えぬ『ボス』と呼ばれている敵なのだ。
張り詰めた緊張の糸を感じながらタカヤは何度も時計に目を移した。今の時刻は16:42、鉄神党が指定してきた開戦の時間まで20分を切っている。タカヤは目をつぶって、昨晩ブリット少尉とのシミュレーションで教わった事を思い出す。シミュレーションでは一度も勝つ事はできなかったがブリット少尉の指導のおかげで基礎の技術も知識も出来うる限り詰め込めたと思う。
ここまで来たら開き直った方がいい。無理にでもそう思い込もうとするが、タカヤの体は思ったよりも正直で、緊張の為に汗も震えも止められなかった。ここへ来て自分の臆病さを再確認しているとプライベート通信が入ってくる。レナからだ。
「タカヤ君、大丈夫?」
レナは自分を案じて通信してきたようだが、むしろ声の張りから極度の緊張が見え、彼女の方が心配になってくる。だが、それを言った所でレナが虚勢を張るのは目に見えている。
「ああ、大丈夫だ。あとは勝って終らせて、ゆっくりと本場の中華料理でも食いに行こうぜ。昨日の食事は日本と代わり映えしなくてがっかりしたからな。魚のフライとか衣がベチャっとしてたし、スープも具が少なくて味気なかったし。いくら軍の食堂とはいえ、あんな物出しちゃ中華料理作っている国の名折れだな」
タカヤは思いつく限り、軽口を並べ立てる。例え自分がどれほど精神的に疲弊していようがレナほどではないはずだと思い、懸命にレナの緊張を解こうとする。
「・・・・・・そうだね、せっかく中国まで来たんだから美味しい物くらい食べたいよ」
レナの声がほんの少し明るさを増した。それを聞いて、タカヤ自身もほんの少し緊張が解ける。
「ああ。だから勝つぜ、俺達」
「うん。じゃあ、また後でね」
レナが通信を切った後、タカヤは再び時計に眼を落とす。既に戦闘開始までの時間は5分を切ろうとしている。
その時、オープンチャンネルに通信が入る。このチャンネルで通信してくると言う事は・・・・・・
「さて!! お集まりいただいた皆さん!! 心の準備はOKですか〜!?」
予想通り、耳障りな道化師の声がスピーカーから響いてきた。やはり開戦の合図もこいつの声になるのだろうか・・・・・・。
「両軍共に準備はよろしいようですね♪ 結構な事です。なお、この戦いは我等、鉄神党によって全世界の通信機器に中継されていますので、互いに妙な事はせず正々堂々スポーツマンシップに乗っ取って戦ってくださいね♪」
道化師の言葉は彼らが本当にゲーム感覚でやっているのではないかとすら思わせる。タカヤは波立つ自分の心を抑え、道化師の声を聞き流して平静を装う。
視線の先にある時計は少しずつ進んでいく。3分・・・2分・・・1分・・・30秒・・・10秒・・・5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・
「0!!」
タカヤは叫び、緋炎皇を敵軍へ向け加速させる。17:00、ついに連邦と鉄神党のゲームが開始されたのだ。
「タカヤ君!!」
「タカヤ、突っ込みすぎだ!!」
クスハとブリットの声が聞こえるが、タカヤは耳を傾けず一心不乱に間近の敵に向かっていく。出る杭は打たれると言う故事そのままに突出したタカヤに対して3機のスリムスケアクローが正面から同時に襲いかかる。
だが・・・・・・
「邪魔だぁ!!」
タカヤは一喝と共に暴魂を一文字に薙ぎ払った。暴魂の一撃はグルンガスト参式の装甲すらもほぼ無効化するほどの重いものである。その一撃にスリムスケアクローの装甲は意味をなさずに瞬時に物言わぬ鉄屑になった。
地面に散乱するスリムスケアクローの破片とレバー越しに伝わってくる暴魂の感触にタカヤは身震いする。その震えは恐怖からではない。自分の力と緋炎皇の力を確信できた事による武者震いである。
「いける・・・・いけるぞ!!」
自分も戦力になる事を認識したタカヤは、自軍との合流を待たず敵の大群へと向かって行く。すぐに緋炎皇は取り囲まれ乱戦状態になるものの、暴魂を振るうたびに取り囲んでいるスリムスケアクローは残骸へと変わっていく。
その光景にタカヤは高揚感を感じていた。さっきまでの緊張も恐怖もただの杞憂でしかなかったと理解し、今はただ感情の赴くままに残骸を作り続ける。
「どうした鉄神党!! もっと歯ごたえのある奴はいねえのか!?」
感情が猛るまま、オープンチャンネルで啖呵を切るタカヤ。そこへ、ブリットが語気を荒げて通信してくる。
「やめろタカヤ、油断は禁物だ!!」
「大丈夫だよブリット少尉! このレベルなら眼を瞑ったって負けはしねえよ」
「雑魚を相手にしただけで相手の戦力を測るんじゃ無い!! お前は―――」
突如鳴り響くアラームにタカヤもブリットも反応する。レーダーにはスリムスケアクローとは比べ物になら無い早さで近づいてくる2つの光点があった。
「これがボスか?! こんな早いタイミングで来るなんて!!」
予想していた展開との違いに狼狽するブリットのをよそにタカヤは笑みを浮かべる。
「大丈夫だよ。どうせ遅かれ早かれ相手する必要があったんだ。さっさと倒し―――」
タカヤの言葉はそこで途絶えた。一際アラームが大きくなったと思った瞬間、大きな衝撃が襲いかかり、緋炎皇が地面に転がった。
タカヤは体勢を慌てて体勢を取り、レーダーとメインモニターへ何度も眼を泳がせる。
そこにあるのは全く同じフォルムをした軽量級PTほどの大きさの2つの機体だった。タカヤはその2機がボスだと反射的に理解した。
だが、今のは一体なんだったのか? 緋炎皇との距離は100メートル程離れていて、とても格闘を仕掛けられる間合いでは無いのだが、その2機は大型の飛び道具を持ってはいない。細身の機体が離れた距離からどうやって緋炎皇を転倒させるほどの一撃を放ったのかタカヤは理解できなかった。
「無様だな、日本人(リーベンレン)」
通信機から声が聞こえてくる。どうやら、これがボス機体のパイロットの声なのか?
「今のも防げないようなド素人を相手にするなんて俺のプライドが許さないが・・・・・・任務は任務だ。この『鉄鋼牙』・剣虎(チェンフー)と刀狼(タオラン)が、お前らを冥府へと送り届けてやる!!」
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