6th BREAK 『大 敵−アーク・エネミー−』 第5章
2007-07-12
アウトブレイブ更新しました。
ようやくジン達の反撃が始まりました。
この勢いに乗って、書き進められたらと思っています。
よろしければ、感想などをコメントに書いていただけると非常に嬉しいです。
5
「あー・・・・・こりゃ、ベストタイミングってやつだったかな?」
彼・・・・・・ジョウスケ・キザキはこの場にそぐわない笑顔を浮かべている。だが、この行動と言動、そして右手に持っている拳銃から、彼がイスルギに対して反旗を翻した事だけは理解できた。
まあ、あまりにも緊張感が欠如しているのは理解できないが・・・・・・。もっともそれはタケヒロも同じらしい。
「お前ふざけているのか!! この女を攫いに来ただと!?」
「うん、そう。理由は色々あるけど他人に話しちゃ駄目って言われたから言えないんだ。悪いね。じゃあ、そういう事で・・・・・」
そう言いながらも、ジョウスケは銃をこちらに定めた。
「何のつもりだ!!」
「いや、さっきも言ったようにその人をこっちでどうにかしないといけないからさ。渡してもらおうと思って。早く離さないと痛い思いするよ?」
「馬鹿かお前は? 銃なんて使ったら怪我するのはこいつ―――」
タケヒロの叫びは途中で途切れ、それと同時にカズエは突き飛ばされた。一瞬、何が起こったのかわからなかったカズエだが、自分を突き飛ばしたタケヒロを見て理解した。
口から呻き声と泡を吹きながらタケヒロは股間を抑えて悶え苦しんでいる。間違い無い、ジョウスケがタケヒロを撃ったのだ。撃つ瞬間の腕の動きも何も見えなかったが、彼が動いた事はタケヒロの苦しむ様が現している。
やはり、イスルギ製とはいえドミネーターに乗っている以上、本人の実力も常人を超えているようだ。
カズエがジョウスケの実力を目の当たりにして驚いていると、当のジョウスケが近づいてきて倒れているカズエを引き起こした。
「大丈夫ですか? なんか変な事されたとか?」
「いや・・・・・危なかったけど、まだ何もされてないわ」
「そっか。あー、安心した。もしなんかされてたら、マユにもジンにも合わす顔無いもんなあ」
ころころとよく変わるジョウスケの表情にカズエは呆気に取られるばかりだった。以前、機体越しに彼の言動を聞いていたとはいえ、この状況でここまであっけらかんとされると呆れるのを通り越して感心してしまう。
「あれ? 俺の顔、なんかついてます? それとも一目惚れ? いやぁ、困った――――」
「両方とも違うわ。特に後者だけはありえないし」
「あいたたたた・・・・」
「それよりも、私を攫いにきたって言ってたけど・・・・・・私をここから出すつもりなの?」
「そうですよ。今、マユがジンを助けに行ってるから、俺はこっちで・・・・・えっと?」
ジョウスケの視線が宙を泳ぐ。どうやらカズエの名前が出てこないようだ。
「カズエ。カズエ・ライドウよ。貴方はジョウスケ・キザキでいいのよね?」
「ピンポーン♪ 美人に名前知っててもらえるのは嬉しいなあ♪」
「テンプレのお世辞ありがとうね。それより、これからどうするの?」
「あ、それは・・・・・今から聞きますわ」
「はぁ?」
流石にこれは予想外だった。イスルギ重工を裏切るという危険極まりない真似をしておいて、こんな杜撰な行動を取るとは・・・・・。
ここまで非常識な態度を取られると、もしかして自分をわざと怒らせようとしているのではないかと邪推してしまうが、彼の態度と顔を見る限りそれは考えにくい。
そんな事を考えているうちに、ジョウスケは懐から携帯電話を取り出していた。
「・・・・・あ、もしもしマユ?」
「はい・・・・・はい。わかりました」
ジンはマユが持ってきたイスルギ私設特別部隊の制服を着ながら、マユの電話に聞き耳を立てた。突然かかってきた電話に出たマユは真剣な顔をして話を聞いている。
こういう状況で電話に出ているという事は相手は一人しかいない。
「ジョウスケだな?」
マユは会話を続けながらも、うなづいてジンの問いに答える。
「そうか・・・・・マユ、電話を貸せ。話したい事がある」
「え? うん、わかった」
マユから電話を受け取り、ジンはすぐに耳元に電話を持ってくる。
「もしもーし? 聞いてる〜?」
「ああ、聞いている」
「え? あれ!?」
電話の向こうでジョウスケがなんとも間抜けな声を出している。表情がすぐに脳裏に浮かんで来そうなほど愉快な驚きっぷりだ。
「大声で騒ぐな。耳が痛い」
「いや、だって・・・・・急に声変わったら驚くだろ。あと、一応聞くけどジンだよな?」
「そうだ。それで合流する場所って決まっているのか?」
「ああ、とりあえずAMやドミネーター置いてある格納庫って事になってるけど」
思ったとおりだ。ジンは誰にも聞こえない程度の小さな舌打ちをする。確かにここから逃げ出すにはベターな選択だ。
奪われているヴァルゼリオンやジョウスケのヴァルレオンを奪うことができれば充分イスルギと対決できる戦力となる。
だが、今のジンにはそれが出来ない理由がある。
「・・・・・悪いが、お前はそこでカズエさんと待っていてくれ」
「ええ!?」
「どうしてもやらないといけない事があるんだ。じゃあ、しっかりカズエさん守ってくれ」
そう言いつつもジンは電話を切った。切り際にもジョウスケが受話器の向こうで大騒ぎしていたようだが気にしないことにする。
「悪いな、予定変更させてもらった。」
電話を返すと、マユは不思議そうな顔も不満そうな顔もせず、さも当然の事といった表情で携帯をポケットにしまった。
「・・・・・聞かないのか?」
言葉に出してから、ジンは少々自分の言葉に戸惑いを覚える。今まで普通の兄弟とはとても言えないほどの断絶を感じていただけに、どうにもマユとどう距離を取ればいいかわからない。
しかし、マユ自身はそう思っていないらしい。返ってきたのは簡潔ではっきりとして言葉だった。
「兄さんには、兄さんの考えや目的があるんでしょう? 信じるよ。」
言葉が出てこなかった・・・・・・。本当にマユの考えは自分にはわからない。だが、無条件に自分を信頼してくれる事はジンにとってありがたく、少々心地よい物だった。
「ありがとう・・・・・じゃあ、行くぞ」
「うん」
それを合図にジンはマユの手を取って牢獄を飛び出した。イスルギのセキュリティを持ってしても、警戒態勢を整えるまでにはそれなりに時間がかかる。
ジョウスケから電話が来る前にマユが言っていた事が正しければ、カズエとジョウスケがいるのは重工本社・研究開発棟のはずだ。
少々出遅れたが、今のうちなら警備部隊と接触する事も無くたどり着けるはず。マユには少々厳しいかもしれないがジンはわずかな時間に賭け、走り出す。
(待っていてくれカズエさん・・・・・そしてアヤネ。今、お前を助けに行く!!)
ようやくジン達の反撃が始まりました。
この勢いに乗って、書き進められたらと思っています。
よろしければ、感想などをコメントに書いていただけると非常に嬉しいです。
5
「あー・・・・・こりゃ、ベストタイミングってやつだったかな?」
彼・・・・・・ジョウスケ・キザキはこの場にそぐわない笑顔を浮かべている。だが、この行動と言動、そして右手に持っている拳銃から、彼がイスルギに対して反旗を翻した事だけは理解できた。
まあ、あまりにも緊張感が欠如しているのは理解できないが・・・・・・。もっともそれはタケヒロも同じらしい。
「お前ふざけているのか!! この女を攫いに来ただと!?」
「うん、そう。理由は色々あるけど他人に話しちゃ駄目って言われたから言えないんだ。悪いね。じゃあ、そういう事で・・・・・」
そう言いながらも、ジョウスケは銃をこちらに定めた。
「何のつもりだ!!」
「いや、さっきも言ったようにその人をこっちでどうにかしないといけないからさ。渡してもらおうと思って。早く離さないと痛い思いするよ?」
「馬鹿かお前は? 銃なんて使ったら怪我するのはこいつ―――」
タケヒロの叫びは途中で途切れ、それと同時にカズエは突き飛ばされた。一瞬、何が起こったのかわからなかったカズエだが、自分を突き飛ばしたタケヒロを見て理解した。
口から呻き声と泡を吹きながらタケヒロは股間を抑えて悶え苦しんでいる。間違い無い、ジョウスケがタケヒロを撃ったのだ。撃つ瞬間の腕の動きも何も見えなかったが、彼が動いた事はタケヒロの苦しむ様が現している。
やはり、イスルギ製とはいえドミネーターに乗っている以上、本人の実力も常人を超えているようだ。
カズエがジョウスケの実力を目の当たりにして驚いていると、当のジョウスケが近づいてきて倒れているカズエを引き起こした。
「大丈夫ですか? なんか変な事されたとか?」
「いや・・・・・危なかったけど、まだ何もされてないわ」
「そっか。あー、安心した。もしなんかされてたら、マユにもジンにも合わす顔無いもんなあ」
ころころとよく変わるジョウスケの表情にカズエは呆気に取られるばかりだった。以前、機体越しに彼の言動を聞いていたとはいえ、この状況でここまであっけらかんとされると呆れるのを通り越して感心してしまう。
「あれ? 俺の顔、なんかついてます? それとも一目惚れ? いやぁ、困った――――」
「両方とも違うわ。特に後者だけはありえないし」
「あいたたたた・・・・」
「それよりも、私を攫いにきたって言ってたけど・・・・・・私をここから出すつもりなの?」
「そうですよ。今、マユがジンを助けに行ってるから、俺はこっちで・・・・・えっと?」
ジョウスケの視線が宙を泳ぐ。どうやらカズエの名前が出てこないようだ。
「カズエ。カズエ・ライドウよ。貴方はジョウスケ・キザキでいいのよね?」
「ピンポーン♪ 美人に名前知っててもらえるのは嬉しいなあ♪」
「テンプレのお世辞ありがとうね。それより、これからどうするの?」
「あ、それは・・・・・今から聞きますわ」
「はぁ?」
流石にこれは予想外だった。イスルギ重工を裏切るという危険極まりない真似をしておいて、こんな杜撰な行動を取るとは・・・・・。
ここまで非常識な態度を取られると、もしかして自分をわざと怒らせようとしているのではないかと邪推してしまうが、彼の態度と顔を見る限りそれは考えにくい。
そんな事を考えているうちに、ジョウスケは懐から携帯電話を取り出していた。
「・・・・・あ、もしもしマユ?」
「はい・・・・・はい。わかりました」
ジンはマユが持ってきたイスルギ私設特別部隊の制服を着ながら、マユの電話に聞き耳を立てた。突然かかってきた電話に出たマユは真剣な顔をして話を聞いている。
こういう状況で電話に出ているという事は相手は一人しかいない。
「ジョウスケだな?」
マユは会話を続けながらも、うなづいてジンの問いに答える。
「そうか・・・・・マユ、電話を貸せ。話したい事がある」
「え? うん、わかった」
マユから電話を受け取り、ジンはすぐに耳元に電話を持ってくる。
「もしもーし? 聞いてる〜?」
「ああ、聞いている」
「え? あれ!?」
電話の向こうでジョウスケがなんとも間抜けな声を出している。表情がすぐに脳裏に浮かんで来そうなほど愉快な驚きっぷりだ。
「大声で騒ぐな。耳が痛い」
「いや、だって・・・・・急に声変わったら驚くだろ。あと、一応聞くけどジンだよな?」
「そうだ。それで合流する場所って決まっているのか?」
「ああ、とりあえずAMやドミネーター置いてある格納庫って事になってるけど」
思ったとおりだ。ジンは誰にも聞こえない程度の小さな舌打ちをする。確かにここから逃げ出すにはベターな選択だ。
奪われているヴァルゼリオンやジョウスケのヴァルレオンを奪うことができれば充分イスルギと対決できる戦力となる。
だが、今のジンにはそれが出来ない理由がある。
「・・・・・悪いが、お前はそこでカズエさんと待っていてくれ」
「ええ!?」
「どうしてもやらないといけない事があるんだ。じゃあ、しっかりカズエさん守ってくれ」
そう言いつつもジンは電話を切った。切り際にもジョウスケが受話器の向こうで大騒ぎしていたようだが気にしないことにする。
「悪いな、予定変更させてもらった。」
電話を返すと、マユは不思議そうな顔も不満そうな顔もせず、さも当然の事といった表情で携帯をポケットにしまった。
「・・・・・聞かないのか?」
言葉に出してから、ジンは少々自分の言葉に戸惑いを覚える。今まで普通の兄弟とはとても言えないほどの断絶を感じていただけに、どうにもマユとどう距離を取ればいいかわからない。
しかし、マユ自身はそう思っていないらしい。返ってきたのは簡潔ではっきりとして言葉だった。
「兄さんには、兄さんの考えや目的があるんでしょう? 信じるよ。」
言葉が出てこなかった・・・・・・。本当にマユの考えは自分にはわからない。だが、無条件に自分を信頼してくれる事はジンにとってありがたく、少々心地よい物だった。
「ありがとう・・・・・じゃあ、行くぞ」
「うん」
それを合図にジンはマユの手を取って牢獄を飛び出した。イスルギのセキュリティを持ってしても、警戒態勢を整えるまでにはそれなりに時間がかかる。
ジョウスケから電話が来る前にマユが言っていた事が正しければ、カズエとジョウスケがいるのは重工本社・研究開発棟のはずだ。
少々出遅れたが、今のうちなら警備部隊と接触する事も無くたどり着けるはず。マユには少々厳しいかもしれないがジンはわずかな時間に賭け、走り出す。
(待っていてくれカズエさん・・・・・そしてアヤネ。今、お前を助けに行く!!)
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