BASARA 第二話『遊戯開始』 第三章
2007-04-21
BASARAの方を更新しました。
良かったら読んでください。 三
それはタカヤとレナが特別措置で帰宅する前日の事だった。
「おめでとうございます!! タカヤさんとレナさんは、このゲームのヒーロー&ヒロインに選ばれました♪ これからあなた達の肩には、地球圏の人類全ての命を背負ってもらいま〜す♪」
道化師の言葉で場が沈黙した。特にタカヤは道化師の言っている意味がわからず呆然としてしまった。多分、隣で立ち尽くすレナも同じなのだろう。
しかし、それが道化師にはわからないのか不思議そうな顔で見つめている。
「あれれ? 私の声が届かなかったかな? では、改めてもういちど・・・・・
おめでとうござ――――」
「ふざけんな!!」
タカヤは怒声で道化師の言葉を遮る。これ以上、こいつのペースにつきあっていたくない。
「ヒーローだのヒロインだの訳のわからない言葉を並べ立ててんじゃねえ! お前はユキトが言っていた『鉄神党』なんだろ!! くだらねえ言い回しなんかしねえでわかりやすく物を言え!!」
怒声を叩きつけられた道化師は、再び手に取ったクラッカーを鳴らす体勢のまま動きが止まり、再び場が沈黙する。
「知っていたのなら話は早いですねえ・・・・」
道化師の声色が一変した。さっきまでのような能天気な明るさとはほど遠い、耳にまとわりつくような粘着質の声・・・・・。
「率直に言うと、貴方達二人にはゲームの主人公として、ある物を守ってもらいます。それは・・・・・」
道化師の言葉が途切れるとともに画面が切り替わる。
「えっ!!」
「なにっ!?」
タカヤもレナも画面に映る物を見て、驚きの声を上げた。そこに映っていたのは50メートル以上もある巨大な人型兵器が連邦主要国の首都に立っているものだった。だが、その機体は暴れるどころか動き出す様子すら無く、まるで風景の一部のように溶け込んでいてそれが余計に不安感をかきたてる。
「『ウォーキング・ファットマン』それが、この機体の名前です」
画面は再び道化師を映し出す。道化師は声は出さぬものの肩をゆすって笑っているが、その目だけは自分達を嘲笑っているように冷たく光っている。
「これはアメリカが作った『ボガス・ナイトメア』シリーズの一翼でしてね。この手の都市破壊にはうってつけの機体なんですよ。なにせ、体内に都市破壊用に巨大な高重力爆弾が内蔵されていますからね」
タカヤは道化師の言葉を聞いて、目を丸くした。その反応がよほど愉快だったのか、道化師は今まで以上に楽しそうに笑っている。
「驚きましたか? それはそうですよね。いきなりこんな物が現れたらどんな人でも驚きますよね♪ しかも、これ一体で・・・・・うーんと、日本で言うなら関東程度が消滅するんですよ。すごいでしょう?」
「関東!?」
レナは驚きのあまり、声が裏返る。無理も無い、タカヤ自身もレナが先に声を上げていなければ叫びを堪える事など出来なかっただろう。
あのファットマンと言う機体は、各国の首都に立っている。もしそこから関東ほどの地域が消滅してしまえば国家機構そのものが破綻し、世界は未曾有の大混乱に陥るだろう。
そんなこちらの驚きを無視して道化師は話を続ける。
「もちろん、これは解除不能・・・・・・と言うか、下手に手出しするとすぐに自爆しますよ。しかも一つが爆発すれば連鎖的に全てが爆発しますので♪
ただし、こちらも簡単に爆発させる気はまーったくありません。タカヤ曹長さんが既に言っていましたが、我ら鉄神党の目的はただ一つ! 全世界を使ってのゲームをしたいのです!!」
画面は切り替わり、一昔どころか二昔以上に古いCGが画面に映り、道化師もやたら角ばったCGキャラになっている。こいつらがどこまでが本気でどこからがふざけているのか、考える気力も湧いてこない。
こうなったら相手の話が終わるまで黙って聞くのが最良だろう。
「このゲームのルールは非常にシンプルです。連邦軍にはファットマンを爆発させようと各国へ進軍してくる我らが鉄神党の軍勢からファットマンを守ってもらいます。しかし、守るだけではゲームはつまらないですよね。そこで重要なのがタカヤさんとレナさんなのです。あなた達二人はヒーロー&ヒロインとして、特別な権利を与えられます!!
進軍してくる鉄神党の中に数機だけファットマンと連動している機体があります。いわゆるボスって奴ですね。その機体を破壊すればファットマンの起爆コードが書き換えられ、二度と爆発しなくなります。というか、それしかファットマンを止める方法は無いのですけどね。
そのボスはあなた達二人のみに破壊が許されています。もし、他の者が破壊してしまった場合、強制的にゲームオーバーになっちゃいますからお気をつけて♪♪」
説明の仕方が本当にゲーム前のルールの説明のようだ。しかし、その陽気な口調と愉快な画面とは裏腹に、奴が喋っている事そのものは背筋が凍る様な内容だ。道化師の言葉を事実として受け取ると、自分とレナ以外の人間はボスとの戦闘への介入はほぼ不能と言う事になる。
タカヤはようやくカイ少佐とユキマサの苦虫を噛み潰したような顔の意味を理解した。本当に世界の命運は自分とレナと言う素人の手に任されたと言う事を。
確かに鉄神党にとって、これは至高のゲームだろう。全世界をと全人類をチップにした戦争ゲーム。狂気を孕んだ者にしか行う事の出来ない神のゲーム・・・・・・。
そして、その神のゲームに放り出された自分達を嘲笑うかのような笑みを浮かべた道化師の顔が画面を支配する。
「どうです? 簡単なルールは飲み込めましたか? では、もう一つお話しましょう。
まずゲームのプレイ時間はこちらが指定させていただきます。このゲームは毎週月曜日の17:00にスタートし、19:00に終了します。終了と同時に交戦は終了し、我が軍は撤退します。
それ以外の六日間はご自由にお過ごしください。ただし、爆破圏内からその外への移動はどんな理由があれ許しません。それによって起きる問題は連邦の方で解決してくださいね♪ ただ、タカヤさんとレナさんだけはもちろん例外ですので。あなた達二人はどこの国から解放するのかご自由に決断なさってくださいね。
さて、私共からお伝えする事はもうありませんね。なお、ゲームの開始日は二週間後の月曜日に開始いたします。それまでみなさん、ご機嫌よ〜う」
道化師が画面から消えると共にタカヤは目の前が急に回り始め、身体が宙に浮いたように落ち着かなくなった。隣にいるレナは目に涙を浮かべ、今にも吐きそうなほど嘔(えず)いている。無理もない。自分もこれほどの重圧など味わった事は無い。特に元々心も身体も強くないレナへの負担は自分とは比べ物にならないだろう。
タカヤは震えるレナの肩を掴み、強く抱き寄せて必死に震えを止めようとする。その肩に回した自分の手の振るえを恥じながら・・・・・。
良かったら読んでください。 三
それはタカヤとレナが特別措置で帰宅する前日の事だった。
「おめでとうございます!! タカヤさんとレナさんは、このゲームのヒーロー&ヒロインに選ばれました♪ これからあなた達の肩には、地球圏の人類全ての命を背負ってもらいま〜す♪」
道化師の言葉で場が沈黙した。特にタカヤは道化師の言っている意味がわからず呆然としてしまった。多分、隣で立ち尽くすレナも同じなのだろう。
しかし、それが道化師にはわからないのか不思議そうな顔で見つめている。
「あれれ? 私の声が届かなかったかな? では、改めてもういちど・・・・・
おめでとうござ――――」
「ふざけんな!!」
タカヤは怒声で道化師の言葉を遮る。これ以上、こいつのペースにつきあっていたくない。
「ヒーローだのヒロインだの訳のわからない言葉を並べ立ててんじゃねえ! お前はユキトが言っていた『鉄神党』なんだろ!! くだらねえ言い回しなんかしねえでわかりやすく物を言え!!」
怒声を叩きつけられた道化師は、再び手に取ったクラッカーを鳴らす体勢のまま動きが止まり、再び場が沈黙する。
「知っていたのなら話は早いですねえ・・・・」
道化師の声色が一変した。さっきまでのような能天気な明るさとはほど遠い、耳にまとわりつくような粘着質の声・・・・・。
「率直に言うと、貴方達二人にはゲームの主人公として、ある物を守ってもらいます。それは・・・・・」
道化師の言葉が途切れるとともに画面が切り替わる。
「えっ!!」
「なにっ!?」
タカヤもレナも画面に映る物を見て、驚きの声を上げた。そこに映っていたのは50メートル以上もある巨大な人型兵器が連邦主要国の首都に立っているものだった。だが、その機体は暴れるどころか動き出す様子すら無く、まるで風景の一部のように溶け込んでいてそれが余計に不安感をかきたてる。
「『ウォーキング・ファットマン』それが、この機体の名前です」
画面は再び道化師を映し出す。道化師は声は出さぬものの肩をゆすって笑っているが、その目だけは自分達を嘲笑っているように冷たく光っている。
「これはアメリカが作った『ボガス・ナイトメア』シリーズの一翼でしてね。この手の都市破壊にはうってつけの機体なんですよ。なにせ、体内に都市破壊用に巨大な高重力爆弾が内蔵されていますからね」
タカヤは道化師の言葉を聞いて、目を丸くした。その反応がよほど愉快だったのか、道化師は今まで以上に楽しそうに笑っている。
「驚きましたか? それはそうですよね。いきなりこんな物が現れたらどんな人でも驚きますよね♪ しかも、これ一体で・・・・・うーんと、日本で言うなら関東程度が消滅するんですよ。すごいでしょう?」
「関東!?」
レナは驚きのあまり、声が裏返る。無理も無い、タカヤ自身もレナが先に声を上げていなければ叫びを堪える事など出来なかっただろう。
あのファットマンと言う機体は、各国の首都に立っている。もしそこから関東ほどの地域が消滅してしまえば国家機構そのものが破綻し、世界は未曾有の大混乱に陥るだろう。
そんなこちらの驚きを無視して道化師は話を続ける。
「もちろん、これは解除不能・・・・・・と言うか、下手に手出しするとすぐに自爆しますよ。しかも一つが爆発すれば連鎖的に全てが爆発しますので♪
ただし、こちらも簡単に爆発させる気はまーったくありません。タカヤ曹長さんが既に言っていましたが、我ら鉄神党の目的はただ一つ! 全世界を使ってのゲームをしたいのです!!」
画面は切り替わり、一昔どころか二昔以上に古いCGが画面に映り、道化師もやたら角ばったCGキャラになっている。こいつらがどこまでが本気でどこからがふざけているのか、考える気力も湧いてこない。
こうなったら相手の話が終わるまで黙って聞くのが最良だろう。
「このゲームのルールは非常にシンプルです。連邦軍にはファットマンを爆発させようと各国へ進軍してくる我らが鉄神党の軍勢からファットマンを守ってもらいます。しかし、守るだけではゲームはつまらないですよね。そこで重要なのがタカヤさんとレナさんなのです。あなた達二人はヒーロー&ヒロインとして、特別な権利を与えられます!!
進軍してくる鉄神党の中に数機だけファットマンと連動している機体があります。いわゆるボスって奴ですね。その機体を破壊すればファットマンの起爆コードが書き換えられ、二度と爆発しなくなります。というか、それしかファットマンを止める方法は無いのですけどね。
そのボスはあなた達二人のみに破壊が許されています。もし、他の者が破壊してしまった場合、強制的にゲームオーバーになっちゃいますからお気をつけて♪♪」
説明の仕方が本当にゲーム前のルールの説明のようだ。しかし、その陽気な口調と愉快な画面とは裏腹に、奴が喋っている事そのものは背筋が凍る様な内容だ。道化師の言葉を事実として受け取ると、自分とレナ以外の人間はボスとの戦闘への介入はほぼ不能と言う事になる。
タカヤはようやくカイ少佐とユキマサの苦虫を噛み潰したような顔の意味を理解した。本当に世界の命運は自分とレナと言う素人の手に任されたと言う事を。
確かに鉄神党にとって、これは至高のゲームだろう。全世界をと全人類をチップにした戦争ゲーム。狂気を孕んだ者にしか行う事の出来ない神のゲーム・・・・・・。
そして、その神のゲームに放り出された自分達を嘲笑うかのような笑みを浮かべた道化師の顔が画面を支配する。
「どうです? 簡単なルールは飲み込めましたか? では、もう一つお話しましょう。
まずゲームのプレイ時間はこちらが指定させていただきます。このゲームは毎週月曜日の17:00にスタートし、19:00に終了します。終了と同時に交戦は終了し、我が軍は撤退します。
それ以外の六日間はご自由にお過ごしください。ただし、爆破圏内からその外への移動はどんな理由があれ許しません。それによって起きる問題は連邦の方で解決してくださいね♪ ただ、タカヤさんとレナさんだけはもちろん例外ですので。あなた達二人はどこの国から解放するのかご自由に決断なさってくださいね。
さて、私共からお伝えする事はもうありませんね。なお、ゲームの開始日は二週間後の月曜日に開始いたします。それまでみなさん、ご機嫌よ〜う」
道化師が画面から消えると共にタカヤは目の前が急に回り始め、身体が宙に浮いたように落ち着かなくなった。隣にいるレナは目に涙を浮かべ、今にも吐きそうなほど嘔(えず)いている。無理もない。自分もこれほどの重圧など味わった事は無い。特に元々心も身体も強くないレナへの負担は自分とは比べ物にならないだろう。
タカヤは震えるレナの肩を掴み、強く抱き寄せて必死に震えを止めようとする。その肩に回した自分の手の振るえを恥じながら・・・・・。
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